モンテアレグレ農園(ブラジル)

ブラジルMonte Alegre農園出張レポート

●農園へ

サンパウロから車で3時間半。モンテアレグレ農園が所在するミナスジェライス州南部へ。丘陵地が広がるブラジルでも歴史あるコーヒー栽培地。

肥沃な土質のおかげで肥料の投入は少なく済み、降水量も十分な天然の湧水に恵まれた地域で、標高は860m以上の高地に農園は所在。

モンテアレグレ農園の耕作地域は2,852ha(東京ドーム610個分、東京品川区より大きい)他に,自然森林が3,450ha,再植林が283ha,そして湿地帯等が359haと自然保護に配慮をした生産方法を取り入れている。

●農地を見る

◎農園の区分管理

現在は収穫が行われている真最中。今年は開花のばらつきから果実の成熟度度合いも異なり、収穫は前年の2回から3回に増える見込み。農園は11の区画に分けられ、それぞれの区画をエリアマネージャーが統括する形で運営される。11の区画はさらに細かく管理がなされ、夫々の地域で(1)区画番号(2)樹の種類(3)樹の本数(4)区画の広さ(5)樹の植付け間隔が記載された「認識看板」が農園には立てられている。また全ての区画情報がコンピューター管理される、先進的なトレーサビリティシステムを組んでいる。

◎赤実だけの分別収穫

収穫方法は、手摘みが全体の75%、残り25%を機械収穫で、いずれの方式も赤実を分別収穫しているのが印象的であった。『コーヒーチェリーの品質が何よりも大切。摘み取る果実の品質以上にコーヒーは良くならない』との、同農園担当取締役でB.S.C.A.(ブラジル・スペシャルティーコーヒー協会)の会長も務める、Jose Francisco氏の言葉が印象的であった。果実の熟度度合いは、青豆⇒完熟豆⇒過完熟豆と3段階に大別できるが、一般的なブラジルの収穫方法では、この3種をまとめて取ってしまっている。しかしモンテアレグレ農園では、手摘み収穫・機械収穫とも選別収穫を施し青豆・過完熟豆の混入率を少なくしている。目安としては青豆の混入率を5%以内にすることと、エリアマネージャー経由、収穫するピッカーに指導がなされている。

◎機械収穫

11の区画のうち、ひとつの区画のみ機械を導入している。ハワイから輸入された機械は300人の労働者に相当する収穫能力を持つ。機械収穫は手摘みと比べ、赤実の収穫率が低いのではと懸念したが、なかなか高い精度を持っていた。精度を高くする方策として(1)チェリーの熟した樹の部分に回転ローラーを当てる(2)回転ローターの震度は控えめ、進む車の速度は抑え目にし、熟した赤実が多く集まり、青実が少なくなるような配慮を行っていた。



農園まで30km地点からの遠景

 



農園内



手摘み収穫後の篩いかけ



収穫された赤実

機械収穫



●精製処理方法

果実を収穫したら同日のうちに水洗精製処理が開始される。不要に果実を留め置き醗酵過程が進む品質劣化を防ぐ為、迅速な精製処理のスタートが重要なポイントである。全ての工程をスムーズ且つ確実に行うため、ロット毎にID認識番号が付けられ、全ての工程に工程管理表が掲示される。興味深かったのが5Sの指導として5S = (1)SEIRI整理 (2)SEITON整頓 (3)SEISO清掃 (4)SEIKETSU清潔 (5)SHITSUKEしつけが工程管理表の中に記載してあった。



5Sの精神を守りながらひとつひとつの工程を確実に行い、品質管理こそが高品質コーヒー生産の要との精神が良く現れている。また従来の技術者の経験則から一歩進んだ例として挙げられるのが、醗酵進捗度合いの数値化である。醗酵槽の水のPH度を計り、4.2-4.4まで進んだ所で醗酵が完了としている。このシステムは世界でもブラジルでも中々ない進歩的な生産管理方法である


(1)チェリー受入口

(2)チェリー受入口正面

(3)チェリー清掃機

(4)チェリーの水流分別機
(5)果実の熟度で分別
(6)チェリーの分別具合
(7)果肉除去機8)果肉除去機正面(9)製造工程管理掲示板
(10)5Sの指導(11)醗酵槽(12)醗酵槽ID看板
(13)PH計測器で醗酵(14)天日乾燥場(15)パーチメントとID看板
(16)木製サイロに貯蔵

●モンテアレグレならではの精製技術

(1) チェリー清掃機;葉や木屑などの異物を除去・清掃(2) チェリーの水流分別機;農地での選別収穫だけでなく、精製工程の最初に果実の熟度に応じて選別(3) PH計測器;最適な醗酵度を、天候・気温・醗酵槽使用時間に左右されず、最適なポイントを把握(4) 木製サイロ;豆に含まれる味覚成分をゆっくりと時間をかけて発達させるプラス 5S、工程掲示板、ロット管理に示される精神、正しい工程管理と取扱者の意識向上である

●モンテアレグレの基本理念



●Sustainability (持続性)とは

近年スペシャリティーコーヒーを現す代名詞としても用いられる環境・社会・経済の公正を図ったコーヒーの事。且つ高い品質基準を伴った物がスペシャルティーコーヒーとの考えが現われている左図の写真は社会→地球環境→コーヒーが持続的発展の名の下に循環するとの看板で、農園内に掲示されている。

●カップの品質

モンテアレグレのカップテスターJorge Jose氏は 2004年イタリアで開催された世界カップテスター コンテスト第3位に入賞。彼の厳しい審査に加え B.S.C.A.(ブラジル・スペシャルティーコーヒー協会) の審査を経て、BSCAの品質証明書が与えられる

品質証明書



Jose氏と栄誉の盾



●環境の品質

コーヒー栽培地帯だけで東京ドーム610個分あるが それより広い自然保護林を持つ。農地内には再植林 湿地帯もあり生態系のバランスに配慮したコーヒー 生産を行う。また水洗精製工程の発生する汚水処理 も行っている。





排水処理の溜池



自然林保護

●生活の品質

農園自体がひとつの地方共同体を形成している。 敷地内に住居・学校・公民館が設置され、働く労働者 の生活水準を上げていく試みがなされる。衣食住の 基本的なものに留まらず、読み書き・パソコンの訓練 お年寄りへの福祉など質的向上のサービスも行う。





農園内学校



社会コミュニティ館

●物造りの精神

通常のカップテストに留まらず、今回は物造りをお互いに進めて考える「味作りの 刷り合わせ」とのコンセプトで異なったカップテスト形式で味覚の意見交換をした。

(1) 通常のカップテスト形式 (2)フレンチプレス抽出形式(3)フィルター抽出形式

で、 クロップ毎・品種毎・精製毎の違いを体感した。商品ごとの違いを認識すると同時 に、改めて抽出方式の違いによる味覚の変化に驚かされる。我々は通常方式の カップテストで生産国との刷り合せを行ってきたが、その方式では最終製品に 至った時の味を、両者は意識しないで同じ珈琲を語っている。コーヒーの飲料 としての性格をもっと考えるには、基本であるカップテストを進化させ、生産国と 消費国で物造りの意見交換を進めていかねばと痛感した。







 



●B.S.C.A.(ブラジル・スペシャルティーコーヒー協会)

モンテアレグレ農園のJose Francisco氏が現在 B.S.C.A.の会長を務めている。 現在のメンバー数は53社で所在地は北部から バヒア州、ミナスジェライス州、サンパウロ州、 パラナ州にまたがる。同協会は1991年に生産国 初のスペシャリティー協会として設立された。 同協会の認証基準を充たした生産者だけが、同協会 のメンバー資格を得られる。



●B.S.C.A.の品質認証システム

◎同協会の基本コンセプト

サスティナビリティーのコンセプトを支える三つの支柱となる考えが(1)品質(2)社会的貢献(3)環境保護。この3要件を満たすことが、BSCAメンバー各社にも、また生産されるコーヒーにも要求されている。



Quality 品質

◎B.S.C.A.メンバ−資格要件

資格要件の取得には3段階の審査段階があり、外部第3者機関により監査も行われる

(1) 最低条件 a)子女の労働 b)強制労働 c)労務環境 d)排水処理の法令遵守(2) 基本条件(1)Basic Certification e)労務の健康と安全 f)環境 g)給与と福利厚生(3) 基本条件(2) Intermediary Certification 生産プロセスに関わる公正と安全(4) 基本条件(3) Social Environmental Management Systems(SEMS)社会・環境的な生産プロセスを遵守しているか

◎品質の証明

資格要件を満たした農園で生産されたコーヒー全てが、スペシャルティーになる訳では無く、同協会 のカッピング・フォームに基づいて、カップ品質が100点満点中80点以上の物に、協会発行の品質 証明書が与えられる。また品質証明書付きのコーヒーは、証明書に付けられた番号でトレーサビ リティ情報が入手可能となっている(BSCAのウェブサイト経由閲覧)



 



BSCA発行品質証明書

◎トレーサビリティ情報

(1)生産者名 (2)生産地域 (3)クロップ年度 (4)数量 (5)商品名・規格 (6)精製方法 (7)木の品種 (8)輸出仕向け先 (9)レポート番号 (10)発行年月日

●船積みまで続く品質管理

農園を出荷してから船積み完了までも品質管理の一環。昨年クロップまでは港湾倉庫に貨物を輸送し、業者の手によってコンテナ積載を行っていたが、今クロップよりは、輸送途上の事故・雨濡れ等による貨物損傷を避ける為、自社の管理下で貨物積載を行う。農園まで空コンテナを運び自社の責任で持って積載を行う。

●2004/05新穀の作柄

昨年度よりも開花の回数が多く、果実の熟度に ばらつきが見られるのが今期の特徴。一般の ブラジルコーヒーの場合は赤実だけの選別収穫 を施していないので品質の劣化が懸念される。 モンテアレグレの場合は収穫に最適なエリア毎で選別収穫を実施する為、熟度のばらつきは 問題にならない。訪問時点はまだクロップ初期 で熟成途上にある段階の為、今期のカップ品質 に関して断定はできなかったが、昨年と比しても 同等レベルと考えてよいと感じた。



2004/05クロップ品目別の生産量グラフ


フルウォシュ 19千袋

パルプドナチュラル 11千袋

ナチュラル 31千袋

ブルボン種 4.6千袋

その他35千袋



合計生産量102千袋
(1)農園事務所全景(2)農園内建物(3)農園風景
(4)農園風景(5)農園スタッフ(6)収穫風景
(7)収穫風景(8)果実を選別(9)収穫労働者の人々
(10)収穫した赤実(11)イエローブルボンの樹(12)コーヒーの苗床
(13)天日乾燥場 (14)棚干し乾燥場 (15)木製サイロ
(16)木製サイロ内部
農園情報」 2006.08.06 Sunday



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